Title
Trunsored modelとSARS死亡率の信頼度: 地域による変動

Authors

松本隆宏, 廣瀬英雄

Matsumoto, T. , Hirose, H.


Source

2006年度統計関連学会連合大会, pp.256 (平成18.9.8) 東北大学(仙台)

2006 Joint Statistical Meeting, pp.256 (9/8/2006) Sendai

abstract, 日本統計学会誌、vol. 33, No.3, p.409 (平成15.12 (2003.12))


Abstract

SARS死亡率の推定法とその信頼度についてはいくつか公表されている(例えば [1]).ここでは最も単純な推定法について考察する.ある時刻 T(打ち切り時間)ま でのSARS患者発生数と死者発生数の経緯をtruncated dataとみなして最終的な患者総 数および死者総数をそれぞれ推定し,それらの比からSARS死亡率を推定することがで きる.この場合,打ち切り時間が後半になるに従って患者総数と死者総数の推定値は 実際の患者総数と死者総数に近くなり,それぞれの信頼区間も小さくなる.そのため 死亡率の信頼区間も小さくなる.つまり,SARSが終息した段階で地域ごとに集計を行 えば,地域ごとに異なった死亡率の推定値が得られ,しかもそれぞれが高い信頼度を 持つ.例えば12/31/2003の時点で,Hong Kongでは患者総数1,755人,死者総数299 人なので,死亡率=17.04%が,Singaporeではこれらは,238人,33人,13.87%が得 られ,このとき死亡率の標準偏差は極めて小さくなる. しかし,例えばHong Kongであっても少しの状況変化で患者総数や死者総数は確率 的に変動すると考えられ,このとき死亡率17.04%も変動する.例えば299人から2人 増えただけでも死亡率は17.15%に変動する.また,環境の状況などから地域によって 死亡率がそれぞれ異なることは理解できるが,その信頼度が高くなることは説明しに くい.SARSウイルスはどこでも同じであるので,地域によって人の耐性や治療法に大 差ない場合,死亡率は確率的な変動の範囲である程度ばらつくと考えられる.つま り,終息段階でも死亡率にはある程度の信頼幅が存在すると考えることもできる. いつかは必ず故障する製品が何個かあって,ある時刻までにいくつかが故障したと きに,故障総数=製品総数を推定するには条件付き確率(truncated model)は適して いる.しかし,製品総数が分かって いて,いつまでたっても故障しない 製品がその中に含まれていた場合, 全体に占める故障製品の割合pを未 知数として導入したtrunsored model[2]でも,途中の状況から背後 分布のパラメータを推定することは 可能で, truncated modelと同じパ ラメータ推定値を得る.しかし,p により故障総数は確率的に変動す る.SARSの場合も,ある地域の中 の何人かが感染率qによって感染す ると考えることにすると,どちらか といえばtrunsored modelで推定し た方が理解し易くなる. 感染率,死亡率を推定する際に総合的にtrunsored modelを考え,SARSが流行した 地域の終息後の死亡率の95%信頼区間を求めた結果を図1に示す. 参考文献 [1] 陳,中村,SARS死亡率の推定法と信頼度,2005年度統計関連学会連合大会 proceedings, pp.338-339,(2005) [2] H. Hirose: The trunsored model and its applications to lifetime analysis: unified censored and truncated models, IEEE Transactions on Reliability, 54, pp.11-21 (2005)

 

 


Key Words

 


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