廣瀬研究室 研究内容

revised: April 3, 2006
 

概要:

電気、機械、制御、など工学系の研究には数値計算がつきものであり、重要な要素技術となります。廣瀬研究室では、主に工学系を対象に、コンピュータを使った数値計算、その中でも確率的な現象や統計的な取り扱いが含まれるものを研究の対象の中心にしています。

しかし、工学系に限らず、自然現象や社会現象に見られる確率・統計的な側面を持つ問題--洪水など気象データの解析、生物や工業製品の寿命解析、経済現象の解析等--も、統計モデルを基本にした数値シミュレーションを援用して解決しています。

廣瀬研究室では、従来、信頼性解析の分野では、少数サンプルにもとづく統計データの解析が行ってきました。最近では、これらの伝統的な研究に加えて、データマイニングのさまざまな手法を用いて、多量のサンプルデータが確保されている状況下で、データに潜在的に内在するデータの構造を解き明かす研究を始めています。多量の顧客データベースからの顧客嗜好解析、多量の時系列データからの変化点と変化内容の解析などが対象です。

具体的な内容:

1. 統計的データ解析

データが与えられたとき、データの背後にあるモデルの同定を行うこと、またモデルを表すパラメータを統計的に推定することです。

この問題は、与えられたデータがどこから来たかによって問題の解決法は多岐にわたります。破壊データや寿命データなら信頼性の分野につながり、確率分布のパラメータ推定が研究の対象に、画像データなら圧縮復元に伴う処理は信号処理に、画像認識ならパターン認識が研究の対象になります。

処理の方法としては、確率分布の同定やパラメータ推定には、パラメトリック、ノンパラメトリックな場合に応じてシミュレーション法を使ったり、尤度を使ったり、その他の基準を使ったりして目標を達成しようとしています。 

数値計算の内容には非線形の極値探索が重要な位置を占めます。

2. データマイニング

数万から数千万にわたるデータをもとにして、数千以下の小数データからは構造が見えないような場合でも、データの背後にあるデータの構造を解明しようとしています。多量の顧客データベースからの顧客嗜好解析、変電所などで常時信号監視している多量の多次元データから、配電システムの変化とその内容を解析することが今の具体的な研究対象です。

3. 統計計算サービスとデータベース構築

データ解析の対象が一般性をもつものであるとき、データを入力することによって、(通常の統計計算パッケージには提供されていないような)解析結果をWEBを通してサービスするものです。また、データ収集のためのデータベース作成も行います。

4. 流体解析

ナビエストークスの方程式の数値解法を差分法、有限要素法などを用いて行います。対象は圧縮性ガスです。理想気体の状態方程式が使える限界まで、圧力、速度、温度を上昇させます。理想気体でなくなる場合、新しい数値モデルを作って解決することを考えます。--->ただいま、研究休止中。